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「私達さ、ほんとにずっと一緒だったよね」
「ああ」
中途半端に抱いた期待は、激しい心臓の鼓動に形を変えて俺の胸を打っている。
「クラスもほとんど同じだったもんね。すごいよね。ねえ、初めて会ってからもう何年だっけ」
「多分、十年くらいにはなるんじゃねぇの」
十年かあ、と透花はため息交じりに笑う。
「長いね」
「ああ」
そしてどちらからともなく口を閉ざす。いつの間にか風はやんで、太陽の光だけがまっすぐに届いていた。
「ねえ。シェルターを出てからどれくらい経ってる?」
「さあ……十時過ぎには出たから、もう四時間は外にいるな」
「そっか」
俺達の交わす言葉はしんと重く沈んだ空気に飲み込まれて、何の響きも残さずに消えていく。
「信じられないよね」
透花の寂しげな声。
「私達、あと四時間で死んじゃうなんてさ」
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