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「ナオ、今日のお前、イケメンだからダイジョーブ」
なんて、涼さんらしい普段通りのテキトーな発言に俺もニカッと笑い、
「あざす!」
と、そう答えて事務所へ向かっていった。
事務所のパイプ椅子座ってスマホを見ると、バイト仲間で構成されたLINEグループに沢山のメッセージが届いていた。
そしてその全てが俺を心配するものではなく激励の言葉ばかりだった。
ただ店長だけは激励の他に来週の飲み会の連絡をこっそり入れていた。
みんなのメッセージを黙々と読む。そして昼に届いた彼女からのメッセージをもう一度読み返す。
何度も言うけれどこれはただの客とただの店員の話。
客の子を好きになっちゃったりする恋愛ストーリーでも、クレームから大事件に発展するサスペンスでもない。
少し不思議なタバコの買い方をするおじさんとそのレジ対応をしていた店員の何の変哲もない普通の話。
たったそれだけの話。
でも、それでも俺にとっては大切な話。
だからこそ俺はこの物語をハッピーエンドで終わらせたいと思う。
そう決意して、右手に持ったスマホをポケットにしまい、左ポケットに忍ばせていた1番のタバコをぎゅっと握り締め、そっとまぶたを閉じた。
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