コンビニ物語~カウントダウンシガレット~

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正直そんなことしてる場合じゃない。そんなことしたらおじさんは1番のタバコを買えずに今日を終えてしまう。 チラッとおじさんを見る。おじさんはこちらの状況に気づいていない様子で、懸命に歩みを進めている。 「あ?なによそ見してんだよ!?なめてんの?」 「いえ、そんなことは…」 最悪だ…なんでよりによってこんな時に… 「…あの失礼ですが、店長のアベノミヤです。どうかされましたか?」 ハッと見ると涼さんが隣に来てくれた。 「お客様、申し訳ございませんが、こちら開封されてますねー。法律上の内容も含め、適切な対応をさせていただきたいので、どうぞ事務所か店の外でお話ししましょう」 と客を諌めると「法律」と「事務所」という涼さんの適当に言い放った言葉を嫌ったカップルはすごすごと店を出ていき、店長でもなんでもない涼さんは「あざしたー」とヘラヘラそう言い放った。 そして涼さんは「休憩してくるわ。頑張れよ」と肩をポンと叩きその場を去り、俺はその後ろ姿に深くお辞儀をした。 そして店内には俺とおじさんだけになった。 一歩ずつ近づいてくる最後の時。色んな感情が湧き上がってきたが、俺は覚悟を決める。 そして… 遂におじさんは俺の前に辿りついた。
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