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「……せくん」
誰かが俺を呼んでいる。
低すぎないハリのある声音。
ぼんやり顔を上げると、高槻さんが俺の傍に立っていた。
「え、高槻さん!?」
何で高槻さんがここに……
「マスターに連絡を貰ったんだ。水臭いじゃないか、早瀬君。君が呼んでくれればいつでも迎えに来たのに」
「迷惑かと思って……」
「僕達は付き合う、いや付き合っているんじゃなかったのかな?君が困っているなら尚更知らせて欲しかったよ」
「高槻さん……」
ああ、今すぐ抱き付きたい。
「泊まる所がないなら、僕の部屋においで。遠慮なんかしなくていい」
「はい、ではお言葉に甘えて」
高槻さんの優しさには、人としても頭が下がる。
俺が席を立つと、バッグまで持ってくれた。
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