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『CLOSED』のプレートが掛けられた『INNOCENT』の扉は、ノブを回すと簡単に開いた。
そっと中に入ったが、天井照明は点いているものの、バーテンダーの姿がない。
コソ泥みたいだなと自嘲しつつ、挨拶をしようとした時、
「今晩は、早瀬様」
スタッフルームらしき奥のドアから先刻のバーテンさんが出てきた。
「えーと、突然すみません、少し休ませて貰えませんか?」
黄色味がかったライトの下、バーテンさんは相変わらずニコニコ笑顔を浮かべている。
「どうぞ、こちらへ」
カウンターではなく、奥の小さなテーブルに案内された。
荷物を足元に降ろすと、気持ちまで軽くなった。
「飲み物をお持ちしましょう」
「あ、棚卸しですよね。続けて下さい」
「簡単な在庫管理ですのでもう終りました。大丈夫ですよ」
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