6人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほぅ……? ワタシの考えた節制メニュー、実行されていないと?」
「館の料理担当者にメニュー表は提示したみたいなんですけれど、しっかり食べてはいないみたいですね。
お酒と甘味は、どこからともなくかすめ取ってきます」
「だっ……だってあのメニュー、これでもかってくらい納豆三昧だった……」
ガバッと体を起して叫んでから、これでは自白になってしまうと気付いたのだろう。
ハッと御師様が口をつぐむが、もう遅い。
そして『胡蝶! こういう時こそ胡蝶の夢の出番……っ!!』という視線を向けるのもやめてほしい。
私の『胡蝶の夢』は失言をなかったことにする便利道具ではありません。
「こっ……こここれは言葉のあやあやあやや……」
落ちけつ、御師様。
「遊仙さん、ちょっと、ちょーっとこっちへ来ましょうか」
しゆ先生の目が輝きを増す。
口元の笑みは変わらず爽やかだ。
だというのに御師様の顔からは更に血の気が引いていく。
最初のコメントを投稿しよう!