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今から5年前....。
2020年、鈴川・結城【すずかわ・ゆうき】25歳・男性――。
彼が起こした殺傷事件――。
それは、銀座笑い男通り魔殺傷事件として報道された事件....。
7人の死者と、15人の重軽傷者を出した忌まわしき出来事....。
鈴川・結城。
彼は笑いながら人々を殺傷し、最後は警察官に囲まれ銃殺された。
何故、銃殺されねばならなかったのかと言えば、彼には痛覚が無かったからである。
彼を警察官が数人で取り押さえに入ったものの、警棒で叩こうが押さえ付けようが怯むことはなかった。
故に仕方がなく発砲に至ったのだと言う。
その結果、殺人犯である鈴川・結城は死に事件は幕を下ろしたかに見えた....。
しかし....。
一旦は、銀座笑い男通り魔殺傷事件としての区切りをつけられた筈のその事件には....。
続きがあったのだ――。
それより3カ月後....新宿にて再び、笑いながら人々を殺傷する男が目撃される。
当然と言えば当然だが、それは銃殺された鈴川・結城ではなかった。
だが、その通り魔の行動は明らかに銃殺された鈴川・結城と酷似していたのである。
そして........そんな状況は、銀座笑い男通り魔殺傷事件から5年経過した今も尚、続いていた。
最初は日本で目撃され、その日本は勿論の事、アメリカや中国、インド等....。
様々な国で、この現象は目撃されるようになったのだ。
この様な事がなければ、単なる何処にでもある異常者の犯行として、片付けられていた筈の事件――。
だが、明らかに接点のない人物や場所で、同様の事件が発生しているのだから、それは既にただ事では無かった。
最初に疑われたのは模倣犯としての犯行だが――。
痛みを感じていない状況や、その異常な暴力性。
そして人間離れした機敏さや腕力はとても模倣の一言で、片付けられるモノでは無かった。
そんな状況を重く見た日本政府は独自の調査機関を設立し、調査を始めたのである。
だが....。
未だ根本的な原因究明には、至っていない。
当初、狂犬病変異ウィルス説が囁かれていた笑い人現象ではあるが....。
笑い人現象調査チームの発表によれば、笑い人化した者の死体を検死解剖し調べた所、特にウィルスらしきものは一切、確認されなかったとの事だった。
ただ、一般の人と比較して、脳内物質の分泌量は異常な数値を示していたと言う。
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