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慌てた様子のスーツ姿にスニーカーを履いた男性は
「忘れ物!落とし物!届いていませんか?」
「はい、二つお預かりしております。小さな紙袋と大きな紙袋です。」
「小さなプレゼントです!」
店主が小さな紙袋を差し出すと
男性はほっとした様子で深々とお辞儀をしている。
再びギィーと扉が開いて慌てた様子の女性が入って来た。
子供を抱き抱えた女性が
「忘れ物!落とし物!届いていませんか?」
「はい、大きな紙袋なら。」
ほっとした様子の女性を驚いた顔で見つめる男性
その視線に気づいて
「薫さん…あ!おめでとうございます。」
そう言って女性は紙袋を手渡した。
潤んだ瞳の薫さんが手に持つ紙袋には
京急百貨店の宝石店の名前が見える。
そして、再びギィーと扉が開いて
「店長~ごめんなさ~ぃ!」
コツコツとヒールの音と共に
野太い声とは反比例する女性らしいワンピース姿の男性に一瞬身構えた。
薫さんは二度見して女性は大きく口を開けたままだ
「やっぱり~ここにいたのね~」
子犬を抱き上げて辺りを見回すと
「みんな大丈夫よ怖がらないで、我が子がまた勝手にお散歩に行っちゃったの~」
抱き抱えた子犬に頬ずりをしながら
彼は優しく微笑んだ。
ここはキラキラ食堂
楽しい出来事も悲しい思い出も連れて
どうぞ、ごゆっくりあたたかいお食事を召し上がれ
皆さまのおかえりをお待ちしております。
明日も素敵な1日を過ごせます様に。
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