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「お前も来いよ、な?あっちで一緒に暮らそうぜ?」
「は?一緒に暮らす?…嫌だよ、しかもあっちってどっちだよ。」
「あっちはあっちだよ、ギタリストはロンドンに決まってんだろ?」
「は?ロンドン?知らねーわそんなの」
「え?ロンドン知らねーの?ほら、イギリスの」
「知ってるわ!ロンドンは知ってるわ!」
「だったらいいじゃん。一緒に来いよ、向こうに友達いるし」
「…や、…だからさぁ」
そういう問題か?
「なんか違うんだよな…大体さぁ、お前何なの?本当に勝手だな?」
「…は?何が?」
「突然居なくなったと思ったら突然戻って来やがって」
「…あぁ、それはごめん」
「海外の前に日本制覇?アホか!ただの旅行じゃねーかよ?」
「まぁ…確かに」
「ふざけんなよ!俺の気も知らねーでさぁ。
俺はなぁっ!…俺は、普通でいいのよ、普通がいいのよ…」
「…普通?」
「そうだよ、俺は普通の人間なんだから、ビッグになるとか?ロンドンとか?そんなんじゃなくて、毎日普通にさ…」
「…なぁ?」
「あ?」
「普通ってなんだよ?」
「…は?」
俺はヒロトのストレートな質問に、即答できなかった。
「お前の“普通”の基準が分かんねぇ」
「いや…だから…」
そうだよ、考えてみりゃあコイツは普通じゃないんだから、俺の普通は通用しない。
コイツに俺の苦労は一生分からない…
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