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「没収な?これ…」
「あ、ちょっ…」
「コータには十万年早ぇーし」
「…はぁ?…十万…年…?」
「いいから!一本寄越せ!」
「…あ?あぁ…」
一番会いたくなかったヤツが、なぜか逆ギレしながら俺の隣に腰掛けて、俺の手からタバコをスッと持ってった。
そして箱から一本取り出して、慣れた手付きで…クソなげぇ指で、火をつける。
何なんだよ?
会ったらぜってーぶん殴ってやろうと思ってたのに。
お前今までどこで何やってたんだよ?とか
バカじゃねえの?信じらんねぇ、とか
ぶつけてやりたい事は山ほどあったのに。
だけど顔見たら全然言えなくてさぁ…
「…つーかさぁ…お前、何やってんの?」
「何やってんのも何も…忘れ物取りに来た…」
「忘れ物?…へぇ…」
忘れ物?…忘れ物ね?
まぁそりゃあ、ほぼほぼギターだけだったもんな?お前の荷物。
そりゃあいくら何でも足りねぇわな…
「で?」
「ん?」
「また行くの?どこだか知らねぇけど」
「あぁ、まぁ…な」
まぁ…な、って何だよ、何なんだよ?その煮え切らねぇ返事はさぁ?
鼻から煙吐き出しながら遠い目すんじゃねぇよ。
俺が買ったタバコ、しれっと胸ポケットに仕舞ってんじゃねぇよ。
つーかさぁ?
やっぱりお前は勝手なヤツだよな?
大体何で今?このタイミングで帰って来んだよ。俺が虚しさに苛まれちゃってる時に。
頼むよ帰って来んなよ。俺がまた泣く前にとっとと行けよ、もう…
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