老婆からの贈り物

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「そうかい。ごちそうさま。じゃあね、あんた」 最初から最後まで俺をあんた呼ばわりした老婆であったが、最後の「あんた」には心が温まるのを感じた。 「ありがとうございました。また来てください」 老婆は手を振りながらコンクリートの地面に足をつけると、たちまち暗闇に溶けていった。 「お前、何持ってるんだ?」と店長が言う。 「え?」 「右手を後ろに隠してるのは何だ?」 自分の心に素直でいようと吹いた老婆の言葉を思い返した。 半分ほどまで短くなった煙草を店長に見せる。 「あのお客様からの贈り物です」 俺はそそくさと煙草をまた口にくわえて老婆の食事を片付けた。
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