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そして、三十分後。
側溝に落ちていた子猫を猫たちが見付け、そこに駆けつけた仁が子猫を無事救出した。
子猫が助かり大喜びの女の子は、仁たちにお礼を言い子猫と帰っていった。
仁と結花は事務所に帰り、事務所で子猫を見付けた五匹の猫たちに、報酬の鰹節を皿に入れて与えながら、仁はひとりごちる。
「子猫の捜索に五百円かかっているのに、収入はなしか……。貧乏にはつらい……」
女の子から成功報酬や経費などは、いっさい貰っていない。
まだまだ無名な探偵なのと、仁の能力から依頼者の多くは子供なのだが、子供からお金は貰わないことになっていた。
「子供からお金を貰うわけにいかないじゃないですか」
隣で仁と同じように、猫に鰹節を与えていた結花が、仁の一人言に答える。
「そうだけど……」
「それに子供の口コミ力はなめちゃいけませんよ」
「口コミ?」
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