第1章

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この第五話、堀北真希さんから気品のある清楚なお色気が表われはじめている。セリフの発し方、声の出し方がより丁寧になり、秋山佳音という少女の魅力が以前にもまして強まっている。これは殉也への想いがより深まりを見せていることの証左とも思えるが、彼女のこのそこはかとない年頃の娘としてのフェロモンのようなものは、演技を超越した無意識の魅力の発現であり、これが、6年前の父の性的虐待という事実を現実味あるものにしているとも言えるような気がする。 そしてそれがドラマをより甘美なものにする一助になっている。 〈イノセント・ラヴ〉は衝撃のドラマなどでは絶対になく、ちょっと変わった形の恋愛を扱った通俗的メロドラマである。 そして佳音は、殺害現場に血のついたナイフを持って兄が立ちつくしていた情景をありありと思い出してしまう。兄は、確かに両親を殺したんだ。池田次郎を襲った際にシャツについた血痕を見た瞬間、佳音の心に突然前触れもなくそれがフラッシュバックのように甦ったのだった。 兄の無実を信じていた佳音はここで深く傷つき、慟哭する。けれど、この時救いだったのは、殉也がそばにいてくれたこと。そして、耀司がいつの間にか舞い戻っていて、罪を認め、そして立ち去ってしまう。 佳音をマスコミや世間の冷たい眼から守るため、殉也は彼女を自分の家に住まわせることを決意する。だが、その夜ふけ、聖花の容態が急変したことに、殉也はまだ気づいてもいなかった。
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