相談と昔話

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それをきっかけに二人はどんどん仲良くなったという。 きっとこのコーヒーがそのブレンドなのだろう。 若い調理師はやっぱりこのおじいさんだと思うから。 そう思うとさっきのコーヒーが飲みたくなる。 「あの、やっぱりおかわりいただいていいですか?」 そんな私の声に 「おや、飲んでくれるのかい? ありがとう、すぐに淹れるねぇ」 と少し嬉しそうなおじいさん。 おじいさんの話を聞き終えたとき、私がどうしたいのかが固まっていた。 おじいさんはコーヒーを淹れながら、ふとランタンをみて 「もう大丈夫そうだね」 と優しく微笑んだ。 つられてランタンを見てみると、出されたときとは違って優しく、ハッキリとした灯りが灯っている。 「どうしたいのか、決まったんだねぇ」 はい、とコーヒーを渡しながら語りかけてくる安心したような、口調に 「はい、謝ってみようと思います」 とそれだけ伝えると、おじいさんは優しくうなずいた。
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