黄昏時、来客

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「……はぁ」 学校からのかえり道、私は何度目かも分からないため息をついた。 頭によぎるのはお昼の出来事ばかり。 私は美術部に所属しながらも、決して絵が上手くはなかった。 だから、あの子の絵に憧れつつも嫉妬していたのかもしれない。 美術の授業で「好きな場所を水彩画で描く」という課題がでて、放課後の中庭を描いていたときのこと。 「一緒に描いてもいいですか?」 遠慮がちに声をかけてきたのは私が憧れていたあの子だった。 普段、あまり話さなかった子だったけれど、隣で絵を描く所が見てみたいと思っていた私は快くその申し出を受け入れた。
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