黄昏時、来客

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一緒に描いているのは楽しかった。 他愛のない談笑をしながら、鉛筆で下書きをする。 ただそれだけの事が楽しくて仕方なかった。 仲良くなれると思った。仲良くなりたいと思っていた。 それなのに、何であんなことを言ったのだろうか。 ――何よ!?ちょっと上手いからって!美術部のくせに下手だって私をバカにしてるんでしょ!? 互いの絵を見せあって、感想を聞いたときに、私は叫んでいた。 本当にひどいことを言ったと思う。 だってあの子は純粋にアドバイスをしてくれようとしただけなのに。 今は一緒にいないあの子の泣きそうな顔が頭から離れない。 「……はぁ」 日が落ちていくにつれて気分も沈んでしまう。 だったら、日が昇れば気分も晴れてくるかな? わかってる、そんなのあり得ないってことくらい。 自嘲気味に笑って、通いなれた田舎道を歩き出した。
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