黄昏時、来客

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「灯籠屋敷?」 見つけた建物にはそう看板がかかっている。 見た目は木造の小さな建物で、建物の周りには石灯籠が並んでいて落ち着いた雰囲気だと思う。 飲食店なのか、宿屋なのか、ドアノブにはopenと書かれた木札がかかっていた。 私は初めて来たはずのその建物に不思議な感覚を覚えていた。 なんだか呼ばれていたような、そんな気がして―― 「すみません」 扉を開けて、顔を覗かせるとカウンターには一人のおじいさんが食器を拭いていた。 「ようこそ、喫茶店(灯籠屋敷)へ お待ちしていましたよ」 おじいさんは私に気づくと微笑みながらそう言った。 「待っていた?あの、それって……」 まるで私が来るとわかっていたような言葉に戸惑いが隠せない。 そんな私におじいさんは手招きをする。 「まぁまぁ、そんなところに立っていないで まずは中にお入りなさいな」 不思議に思いながらもおじいさんの言うようにその建物に入っていった。
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