タバコ&インテリヤクザ

2/4
30人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
長い指が、煙草を一本抜き取る。 色気に満ちた男の仕草に、水野は目を奪われていた。 ライターにこだわりはないらしい。ワンコインで買えそうなライターで、煙草に火を点ける。 「一条さん」 声をかけると、彼は視線だけでこちらを振り返る。 「作家さん、いらしてますよ」 「分かった」 火を点けたばかりの煙草が惜しいのだろう。彼は、すぐには動こうとしなかった。 「煙草、少し控えた方がいいんじゃないですか?」 煙の中にいる彼に、呆れた顔をして見せると。 「それは、後輩として?」 それとも、と彼が笑う。 「恋人として?」 全く、この男は。 「両方です」 水野は彼を上目遣いで睨み付けた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!