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「……と、いったところか。あと何か訊いておきたいことは?」
「大丈夫です」
「この後は、帰宅するだけか?」
「はい、その予定ですが」
「ちょうど、そっち方面に用事があるから。送ってく」
「え」
「何か問題が?」
あなたが怖い、だなんて、言えっこない。
「いえ。あ……、ありがとうございます」
車で約三十分。暴君イケメン編集者と二人っきり。そういう目に遭うのは、妄想の中だけでいい。
「──あ、ここで大丈夫です」
「そうか?」
「はい」
自宅マンション近くの、路地で停めてもらう。この先は少し道が入り組んでいるので、説明するのも手間だ。
「送っていただいて、ありがとうございました」
「いや。どうせ、ついでだ」
はいはい、分かってますよ。
「じゃあ……」
助手席のドアに手をかけると。
「ああ、そういえば」
「はい?」
「さっき話した、描写のことだけど」
描写の仕方で、いくつかアドバイスを受けた。どれだろうと思っていると。
「煙草の」と補足される。
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