山鳥の完全【和解】まにある

3/14
前へ
/14ページ
次へ
「突き放して言いながらも、朝日さんは黙って聞いてくれるんですね」 「別に………僕は初体験が終わった余韻に浸りたいだけなんだけど」 「嘘、ですよね………」  寂しくなって、そう言ってしまう。  初めてを経験した身体の痛みが、私に言わせた『弱さ』だった。  こんなに子どもっぽい、甘えたがりの私自身に、ほとほと嫌気が差した。 「嘘は一つもないけど、但し書きを付すなら。  すげーーーだるい!  珈琲と煙草が欲しい。  記憶とか消したい。  本音はこんな感じだよ」  酷い言われようだった。  私から迫っておきながら、泣きたくなった。  惨めだった。  私は最初から惨めなのに、尚更、惨めになる。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加