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しかし、そのことを少女は思い出せない。       それは、その必要がないからなのか。   それとも、思い出したくないからなのか。         ただ自分が「ここ」にいる。     それ以外に、思い出す必要のあることなどないということなのか。               だが、──いや。だからこそ。         この少女の存在は、       限りなく純真で。   限りなく透明なのだ。             ただこの世界にいることだけがすべてで。     ほかにやることも、行くところもない。人もいない。       ただ、彼女がいるだけの、宝石のような世界。
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