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──そうだ。
少女は不意に思い付く。
──雪だるま、作ろう。
そうして、少女はただ黙々と雪を丸める。
手袋をしていない両手を、雪の冷たさで赤くさせながら。
ころころ、ころころ。徐々に大きくなる雪玉。
少女が押す雪玉の後には、赤く染まった大地が顔を覗かせていた。
そうして出来た胴体部分は、少女の背丈ほどもある大きなものになっていた。
──次は、頭。
気を引き締め、少女は作業を再開する。
かじかんだ手から血が出てきそうになっていたが、今の少女には関係なかった。
やることも、行くところもなかった少女に、「雪だるまを完成させる」という目標が生まれたのだ。
それは、少女にとってどれだけ幸せなことであっただろう。
だから、少女は疲れも、痛みも忘れ、ひたすらに雪玉を転がした。
そして、ついに頭部分も完成した。
非力な少女は、震えながらも懸命に頭を持ち上げた。
──あと、少し。
背伸びをして、必死に力を込めて頭を乗せた。
──できた。
完成したという満足感が少女を満たした。
しかし、
──もう、やることがない。
少女はまた、目標を失った。
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