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「はい、ココア」
俺の注文を聞いていなかったのだろう。その店員はココアを運んできた。
茶髪のポニーテールで、顔は可愛いというより凛々しく、高身長。だが、ナイスボディとは程遠く、全体的にぺったんこだ。
ゴッ
「さっきから独り言をペラペラと……。誰がぺったんこよ、これでもBはあるわ!」
「……Aにしか見えない」
「そう。そんなに視力を失いたいのね。望むところだわ」
「悪かった。だから目潰しの体勢に入らないでくれ」
俺が謝ると、女店員は渋々といった表情で体勢を解き、俺の正面の席に座る。
「……仕事しなくていいのか」
「アンタに言われたくないわよ。毎日ここにココア飲みに来てる自称探偵さん」
「他称も探偵だ」
ココアを一口。うむ、やはり旨い。できればコーヒーを飲みたいのだが、苦くて俺の口に合わん。
この店のココアを飲んでこそ、俺の頭脳は冴え渡るというものだ。
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