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それから一年、僕は母さんに出掛けると言ってあかねの家に来ていた。
マグカップのふちに薄い口を付けてずるずるとコーヒーを飲んでいたら、僕の思考を読み取ったかのように彼女は言ってきた。
「それならミルク入れれば良いじゃない」
僕は若干不機嫌になりながら言い返す。
「そういう問題じゃない」
少しの沈黙の後、彼女は背を向けたまま「ふーん」と呟いた。もしかして怒ったかな。それでも僕は背を丸めてコーヒーの残りを飲む。どうしてだか、彼女の家でブラックコーヒーを飲むことが癖になっていた。
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