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無音のままタツオたちに近い距離にある4つの塹壕から、兵士が立ちあがり中腰で自動小銃をかまえ突撃を開始した。タツオは6人に命じた。
「慎重に狙え。74式は距離が100メートルを切ったら撃て。80式は今だ。撃て」
速射モードににしてあるのだろう。乾いた機関銃の銃撃音が秒間3発で軽やかに鳴った。佐竹はゆっくりと銃口を左から右にないでいく。照準は正確だった。最初の掃射で3分の1の兵士がその場に倒れ、訓練用の戦闘服を深紅に染めて動かなくなった。兵士の悲鳴が聞こえるのは戦闘服の内部で電撃ショックを受けているのだろう。
10キロほどの装備をさげた突撃でも、日乃元の兵士は14~17秒で100メートルを進軍できるように訓練されていた。軽機関銃の掃射の後も倒れた兵士を無視して、目覚ましい速度で突撃兵がこちらに向かってくる。
ソウヤが2度目の掃射をおこない、さらに5人を倒した。タツオたちの塹壕まで半分の距離を稼いだが、敵兵は半分に数を減らしている。
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