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「ミチルさん、敵分隊の指揮官はわかるか」  双眼鏡をのぞいたまま、萬(よろず)満千留(みちる)が叫んだ。 「はい、3名を確認」  タツオはいった。 「狙撃手頼む。指揮官を狙え」  小柄なカケルが長大な狙撃銃を肩に当て、腹這いになっていた。 「お姉ちゃん、風は?」  ゆるやかに揺れる銀のススキの穂の先を見て、ミチルがいった。 「西から5メートル」 「わかった」  ちりちりとスコープの照準に微調整を加え、カケルがいった。 「いきます!」
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