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ジャクヤが叫んでいた。
「第1波の生き残りにスナイパーがふたりいる。塹壕から身体を出すな」
タツオは頭をすくめると、銃剣の先につけた手鏡を差しだした。74式自動小銃にスコープをつけた敵兵が2名確認できた。74式は照準が正確で200メートルくらいなら狙撃銃としての使用も可能だった。
ジャクヤが塹壕の底を這ってきた。機関銃の轟音に負けないように叫ぶ。
「タツオ、やっかいだ。第2波がここにきたら、全員やられる」
「どうしたらいいと思う?」
「敵スナイパーを潰(つぶ)したい。あのふたりのお陰で、こっちは身動きがとれない」
タツオも銃声にかき消されないように声を張った。
「そうだな。ソウヤさんの機関銃は突撃隊専用にして、なんとか第1波の援護を沈黙させんきゃならない」
「迫撃砲かグレネードランチャーでもあれば一撃なんだけどな」
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