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 めりっと初めて魔王を切った手ごたえを勇者は感じた。  少女の軽やかな歓喜の声が聞こえる。 『ああようやく念願が叶ったわ。これで終わり』  魔王の核に剣が届いた瞬間、膨大な魔力量が弾け、爆発的な勢いで魔王を中心に漆黒の靄が吹き出す。  同時に、魔王の核に食い込んだ聖剣から銀光がほとばしった。  鮮光はその場の全員の目を灼き、光と闇の乱舞から生まれた風圧により後方へ吹き飛ばされる。  漆黒の靄と銀色の光はやがて太い二重らせんとなり、天を貫く柱となった。  地が揺れ、天は轟(とどろ)き、海はうねり、世界が鳴動した。 「――ッ」  勇者の意識はそこで途切れ、暗闇に堕ちた。  生前の記憶として彼に残されたのはそこまでだった。  ――輪廻の輪は、勇者を、そして魔王をも飲み込み、巡り…廻る。  新たな物語へ繋がれる序章として……――。
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