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公園は、大名屋敷の庭園の一部を残したもののようで、周囲を囲むように高い木々が生い茂っている。曇天の下でも、新緑は目に眩しい。四方から芽吹く若葉に、心がスッと軽くなるようだ。
いつもなら、自分の納得できる解答を導き出することに躍起になる。大抵は、適当なところで、自分勝手に決め付けて、考えるのを終わりにしてしまう。短気なのか、時間に追われてばかりの仕事の癖が抜けないのか、答えばかりを求めてしまう。
けれど、こうしてのんびり歩いているときくらいは、無意味な決め付けはやめようと思ったのだ。
「そういえば、簿記一級を受けるんだって?」
ぼんやりとした思考の渦を現実的な問いに裁断されて、菜乃佳はピタッと足を止めた。
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