夏揺す嵐

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けれど、北方と川沿いを歩いているときは別だ。初めてそこを歩いたときのように、すっかり葉桜となった木々を眺める。そうすると、いつもはいかにそれらが目に入っていなかったのか気づかされるのだ。 北方が眼中に入っていないということでは、もちろんない。その不思議な感覚を、菜乃佳はそのまま受け入れようとしていた。 それは、神経を緩めているのだろうか。あるいは、尖らせているのだろうか。どちらとも取れるし、どちらも見当外れな気もする。 北方の後ろから三歩ほど遅れて、のんびりと公園の歩道を歩きながら、菜乃佳は考えるのをやめにする。
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