第一章 

3/22
前へ
/35ページ
次へ
高校二年の夏休み、僕たち家族は京都の祖母の家に来ている。 それは、ひい婆ちゃんの法事があるからだ。 昨日の夜、京都に着き、慣れない畳と布団で眠った。 畳の上に布団を敷いて寝るのは、腰が痛くなるのであまり好きではない。 婆ちゃん家で寝る度、そう思う。 「圭一、早く」 そう言いながら、扉を開けて、長い廊下を歩いていく母さんに「今、行く」と答えた。 「圭一、そっちの座布団、奥の畳の部屋に運んで」 「お兄ちゃん、それが終ったら次はご善ね!」 身支度を整えて広間へ向かうと、先に起きて準備を手伝っていた妹にもこき使われる羽目になった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

628人が本棚に入れています
本棚に追加