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「ん、あぁっ、……た、頼む。そろそろ……」
「ダーメ。ちゃんとCMの仕事を確約してくれなきゃ、イかせてあげなぁい」
俺の中でぱんぱんになってるプロデューサーの下半身を腹筋を使って、きゅっと締め上げてやる。
「あぅっ! お、お前のような新人を、CMで起用するなんてっ……」
――お前のような新人、ね。その新人の躰を弄びまくって、よく言うよ、まったく。
ベッドの柱を使ってネクタイで両手首をくくり付け、自由を奪ったプロデューサーの躰に堂々と跨っている俺。焦らして責めてを繰り返してただ今20分ほど経過しているけど、一向にいい返事が戴けない。
チッ、……薬を使っておけば良かったかも――面倒くさいな。いい加減、俺もこの状態はそろそろ限界に近いし、奥の手を使うしかないか。
すっと眼を閉じて、精神を集中する。目頭に涙が溜まるように脳ミソに指令を出した。役者を目指すべくして、あみ出したワザなんだ。
「り、稜(りょう)!?」
程なくして両目から涙が零れ落ち、綺麗なラインを描いて流れていく。好きなヤツの涙に、男は弱いからね。そういうのを知っているからこそ、俺は騙されないんだけどさ。
泣き顔をワザとらしく見せつけてやりながら、プロデューサーの躰からゆっくり下りて、縛られたままのネクタイを解いてやった。
「俺らの関係、もう終わらせたほうがいいよね。顔だけ新人の面倒なんて、飽きて見てはいられないだろ?」
プロデューサーに背を向けながら吐き捨てるように言い放ち、ベッドから立ち上がろうとしたら、その手をぐいっと掴んでくる。
「待てよ! お前まさか他のヤツのトコに、行くつもりなのか!?」
「だって森さんってば、俺にCMの仕事を回してくれないんだもん。当然じゃね?」
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