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「今日もうまいこといったな」
セブンは次の煙草に火をつけながら、運転席のケントに声をかけた。
「安心はできない。警戒されやすくなるだろうしな」
ケントは、ふぅと白い煙を吐いた。
「セブン、ケント。近くで別グループも動いた。そっちは警察に追われてる」
無線からppの声だ。
セブンが応答しようとしたとき、二人は前方に突然現れた車を見たあと身体に衝撃を感じ、意識を失った。
数秒の後、セブンは意識を取り戻してあたりを確認した。
セブンは自分たちの車がどこかの工場に思い切りめり込んでいるのに気づいた。
シートベルトのお陰かケントがハンドルを切ったお陰か、二人とも大した怪我はなく、ケントも目覚めた。
「……とりあえず、生きてるらしい。……ん? おいセブン、やばいぞ。警察だ」
ケントは警察車輌のサイレンと光を見つけた。
どうやら警察に追われていた別グループが自分たちの目の前に飛び出してきたらしいことを二人は悟った。
「ヤバいな、間違いなくこっちも調べにくる。逃げるぞ」
セブンの呼び掛けにケントもうなずき二人は暗がりに身を潜めながら工場の敷地内に隠れた。
セブンたちからは、警察が大破している別グループの車を確認している様子が見えた。いずれセブンたちの車も確認しにくるであろうことは明白で、二人の緊張を高めた。
その時。
セブンとケントは無意識に手を口に近づけて事故のときに煙草を落としたことに気がついた。
このような緊張の中であっても、いや、だからこそ、セブンたちには必要な行為だった。
二人はよどみなく煙草を一本取り出し火をつけた。
そして二つのことに気がついた。
自分たちの車が何か球状のタンクに穴を開けていること。
そのタンク付近に「火気厳禁」という文字がたくさんあること。
夜の静けさを一気に吹き飛ばす轟音が辺りに響いた。
ppはビルの屋上から爆発を見た。
吹き飛んだ二人の車と繋がらない無線で彼女は状況を理解した。
彼女は少しばかり目に涙を浮かべながら、煙草に火をつけた。
白と黒の煙が夜空に混じった。
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