第1章

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 そう言って謝る。ネネは、ショールを外しながら苦笑した。 「疲れたよ」 リビングに入ると、その足元にマグがちょこんと座った。そのマグの背中に歩いてきたおっとり屋のカプがぶつかる。 「ケンカしないの」  驚いたマグがカプに食ってかかろうとしたのでカプを抱き上げ、ネネは膝に載せた。 「コーヒー、もうすぐできるから」 「うん」 部屋の隅から、コポコポと音がする。返事をしたネネに、母は安心したように足元で拗ねていたマグを抱き上げて頬ずりをした。換気扇の下には、コーヒーカップが置かれてあった。それを見ながらネネは言う。 「今度さ、炭焼きのコーヒーがある山小屋に、飲みに行かない?」 「やだね」  それまでしおらしかった母は、顔をしかめてそっぽを向いた。                  終
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