始まり

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それはほんの数分の出来事だった。 一瞬にして、最悪の形で両親を失い 放心状態の私を車に詰め込み、目隠しをされ、両脇を押さえ込まれた。 抵抗したらどうなるかわからない。 恐怖と不安が身体中を支配してガタガタと体が震えだす。 助かる方法なんて、考えもしなかった。 それが無理なことは当の昔に確立されていると。 お父さんとお母さんが殺されたのはほんとに一瞬で、未だに理解できない。 何分経ったのか、それとも、何時間経ったのか、車が停止して、外の空気が肌を撫でる。 目隠しをしたまま、両脇をしっかりと固められ、歩かされる。 しばらくすると、乱暴に目隠しが外された。 「…っ…!!!」 まばゆい光が目を刺すように痛い。 そこは辺り一面真っ白で、目の前には白衣を羽織った男が私の顔をまじまじと見つめている。 「…よし、」 しばらく見つめた後、彼は満足したように笑みを浮かべた。 次の瞬間、首に何かを打たれ、そのまま気を失った。
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