1人が本棚に入れています
本棚に追加
それはほんの数分の出来事だった。
一瞬にして、最悪の形で両親を失い
放心状態の私を車に詰め込み、目隠しをされ、両脇を押さえ込まれた。
抵抗したらどうなるかわからない。
恐怖と不安が身体中を支配してガタガタと体が震えだす。
助かる方法なんて、考えもしなかった。
それが無理なことは当の昔に確立されていると。
お父さんとお母さんが殺されたのはほんとに一瞬で、未だに理解できない。
何分経ったのか、それとも、何時間経ったのか、車が停止して、外の空気が肌を撫でる。
目隠しをしたまま、両脇をしっかりと固められ、歩かされる。
しばらくすると、乱暴に目隠しが外された。
「…っ…!!!」
まばゆい光が目を刺すように痛い。
そこは辺り一面真っ白で、目の前には白衣を羽織った男が私の顔をまじまじと見つめている。
「…よし、」
しばらく見つめた後、彼は満足したように笑みを浮かべた。
次の瞬間、首に何かを打たれ、そのまま気を失った。
最初のコメントを投稿しよう!