雑談の意義

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 プログラミングが終わらない。今日も終電コースか。  横長の白い事務机には衝立が無く、向かい側に座っている上村先輩もチラ見できる。間に挟まった俺のモニターと、先輩のモニターの隙間を縫っての事だけど。  今、向かい側を覗いても、そこにあるのはただの空間だ。上村先輩は休憩室にタバコを吸いに行っている。休み過ぎじゃないのか?  俺はタバコを吸わないので、休憩室にお邪魔したのは、「ド」がつく程の新人の時に、付き合いでちょこっと行ったきりだ。タバコを吸いながらゲームの話だとか、野球の話だとか、どうでもいいことを喋っているだけのように見えた。そんな暇あったら、先に進めればいいのに、と思っていた。  このシステム開発会社に入って、もう2年になる。メンバー40人位の中規模な株式会社で、業務関係のシステムを作っては、お客さんの所に納入しに行っている。今作っているTLシステムは、金融関係の小さなもので、某証券会社に来週末に納入する予定だ。  30分程して戻ってきた上村先輩は、相変わらず他のプロジェクトメンバーとだべりながら、面倒くさそうに仕事を再開した。
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