雑談の意義

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「ちなみに、横山さ、うちらがここで休憩してるのって、ただしゃべってるだけとか、思ってない?」 「え? どういう意味ですか?」 「そうじゃねーんだよ。うちら作る人間にとって、ぼーっと話す時間は必要なの。わかる?」 「ええと、あまり……」 「対応に煮詰まったりするじゃん。その状況で、どんだけあがいても、先には進まないの」 「それはわかります。いつもそうです、僕は」 「でしょ。それはみんな同じ。上村もそう」 「え? そうなんですか! そうは全く見えないです」 「やっぱりそう思ってたか。上村がここに転がり込んでくるのも、大抵は、煮詰まった時なわけよ」 「先輩も、煮詰まるんですね」 「そりゃあね。だから、ここで雑談しているわけ。全然関係無い話からアイディアひらめいたりするし。あと、話し相手がその件知ってたら、即解決でしょ?」 「そういう、ものなんですかね」 「そそ。どんどこ新技術出てくるし、金融システム作るには、金融の知識も必要だし。一人で全部カバーできねーよ物理的に。だから良いの。一人で負わなくても」 「なるほど……勉強になりました」  俺はそう言って、木崎さんに頭を下げた。
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