了の章

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杉並区にあったPSC製薬の研究所が消え去って半月が経過した。 レイラと和也は、新宿区を闊歩している狂鳴人へのワクチン投与活動を始めていた。 屍肉を荒らしていたカラスすら消えてしまった歌舞伎町通りをレイラが全速力で走る。 「こっちだ!喰いたいなら追って来い!」 レイラはそう叫びながら挑発し、三体の狂鳴人を引きつけていた。 狂鳴人は手をブルブルと震わせながらレイラの背に迫る。 その三体の狂鳴人を追いかける和也は、改良型ワクチンが入った吹き矢専用投薬器をポケットから取り出す。 そして、もう片方のポケットから取り出した筒を口に咥えて投薬器をセットし、息を吹き込む。 空気圧によって飛び出した投薬器は、前方を走る狂鳴人の首筋に命中した。
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