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針が刺さった狂鳴人はゆっくり動きを止めるとその場に膝をついて倒れ、身体をガクガク震わせながら完全に停止する。
残る二体にも同じように針が突き刺さり、ドミノの様に重なりながら狂鳴人は倒れて行く。
数秒後、ゴキゴキと奇怪な音が響くのに合わせ、広がりきっていた肩は人間らしい状態へと戻って行く。
レイラと和也は三体の狂鳴人を見下ろしながら、変形が落ち着くのを待った。
「この肩、いつ見ても不思議だ……。外れきった関節が一気に戻るような感覚なのか?この状態でも戻るのなら、ステージ3になっていた和也の母さんも戻せたんじゃ……」
「いや、それは無理だろう。ステージ3は確か血液がほとんど無い状態だったと言っていた。人間として生きていけるだけの血液が無い状況で人間に戻っても、死が待っているだけだ。
俺達が人間に戻してやれるのは、この人達のように五体満足で致命傷の無い狂鳴人だけだ。
レイラも一週間前に見ただろう?上半身だけの狂鳴人や全身傷だらけの狂鳴人にワクチンを投与してすぐに死んだのを……。
改良型ワクチンでも救える命と救えない命がある。俺の母親は、救えない方の命だった……ただ、それだけだ」
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