終の章

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「私の名前は……蒼月美里です」 「僕は光輝」 自己紹介をしてすぐに二人は目に涙を浮かべ、サトルに駆け寄り抱きついた。 「うわぁあああああああああああ」 麻耶の兄であることに安心して緊張の糸が解けたのか、二人は大声で泣き叫ぶ。 その姿は先程までとは違い、子供として本来あるべき姿だった。 「怖かったよ……怖かった……」 サトルは美里と光輝の頭を撫でながら、「もう大丈夫だから」と呟いた。 「レイラさん、起きれますか?」 うつ伏せで気絶しているレイラのすぐ近くでしゃがんだサトルは耳元でそう囁く。 微かに呻き声をあげたレイラは後頭部を擦りながら寝返りをうった。
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