終の章

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「ごめんなさい……私、思い切り後頭部から殴りつけたから……」 膝に手を置いて心配そうに見つめながら美里がそう呟くと、レイラはゆっくりと瞳を開いてサトルを見上げる。 「私も……いよいよだな。こんな子供に……気絶させられるなんて」 「レイラさん……まだ足がかなり傷むんでしょ?仕方ないですよ。俺もこの廊下を通った時、この子達の気配に気が付かなかったし」 「お姉さんごめんなさい!私……見つかったら殺されるかと思って」 美里が顔の前で手を合わせてそう告げると、レイラは小さく笑いながら言葉を返した。 「謝らなくていい。今は殺さないと殺される世界だからな……弟を守る為の行動だったんだろう?私がもし同じ立場なら、きっと同じ事をした」 そう言いながら身体を起こしてきたレイラの背中に手を回すサトル。
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