another story-1 【北海道編】

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「支配人、城ノ内さんが急に居なくなって……まだ帰って来てないんです……。食糧が近いうちに尽きるって話をしていたので、もしかしたら一人で食糧調達へ出たのかもしれません……」 客室係の垂水舞子(たるみまいこ)が目に涙を浮かべ、ホテルの支配人である俺に駆け寄って訴える。 「そうか……もしかしたら近くのスーパーにあった食糧は底をついたのかもな。城ノ内の事だ、南小樽辺りまで探しに行ってくれたのかもしれない……」 「そんな……もし、狂鳴人に殺されでもしたら私……」 舞子と城ノ内が結婚を前提に付き合っている事を知っている俺は、なるべく笑顔を作り、手を握って明るく言葉を返す。 「大丈夫、あいつはそんな簡単に死ぬような男じゃない!俺が保障するよ。とりあえず、ここは電波が届かないから上で電話してくるから」 俺の言葉を聞いた舞子は少しだけ明るい表情になり、他の女性従業員が集まっている場所へ戻っていった。
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