another story-3 【軍艦島編】

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「そんなことわかっとるよ。わかっとるけど……こんな生活何年も続けられへん。毎日同じことの繰り返し!!和博だってわかっとうとやろ?そやけん、うちが家に帰りたいとか言うたら話そらすんやろ?」 私が問い詰めるような口調でそう告げると、和博は坊主頭をポリポリ掻きながら立ち上がる。 「ワシは別にそう言う意味で言うたんと違う。ただ……すずのそんな顔、見たくないだけや」 私達の声が聞こえたのか、隣の部屋で眠っていた華純が目を擦りながらやってくる。 「もう起きてるの?ほんまあんたらは仲がええなぁ。釣り竿握ってるって事は、風間君は今日も釣りに行くん?」 「あぁ……小動物すらおらんから、魚釣るしかないしな」 和博はそう言って釣り竿を肩に乗せ、部屋から出て行こうとする。 部屋と言っても、ドアも無ければ窓も無い吹きさらしの部屋だ。
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