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大人びた口調でそう言われると、自分が大人になりきれていないことを認識させられてしまう。
そもそも十六歳なのだから子供に区別されるのは間違いは無いのだが、華純はいつも私や和博よりも落ち着いていて、余裕な表情をしていた。
それも全て、和博を振り向かせようとしている計算だと気付いたのはつい最近の事だ。
一週間ほど前、私が眠っていると思った華純は和博を手招きして呼び出し、星空を見る為に部屋から出て行った。
私は音を立てないように起き上り、2人を追いかける。
話が聞こえてくる位置まで移動した私は、瓦礫の影に隠れて耳を澄ました。
『ねぇ……風間君は本気ですずの事が好き?』
『ん?なんでそないな事聞くんや?』
『別に深い意味は無いけどさ、風間君はすずと話している時、なんか頑張ってる感じがするからさ……。無理してるって言うのかな?』
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