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『ハハハ、ワシが頑張ってるって?全然頑張ってなんかおらんよ。どっちかって言うと、すずと居る時は気が抜けるって言うか、ドキドキせんっていうか……楽なんよ』
和博がそう呟いた瞬間、華純は和博の唇に自身の唇を重ねた。
『少しは……ドキドキした?』
唇を離した華純は、頬を赤らめながら問い掛ける。
その様子を見守る私の身体が石のように固まってしまった。
ほんの二秒くらいのキスが、私にとっては永遠のように長く感じる。
華純が取った行動は許しがたいものではあったが、三人しか居ないこの空間で華純を問い詰める事は出来なかった。
私が華純を責めても、華純は逃げる場所は無い。
万が一、和博が華純と関係を深めようとしたとしても、私はその真実から目を背ける事は出来ない。
この関係を崩す事も、遠くへ逃げる事も出来ないのだ。
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