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ただ、キスされた後の和博の言葉だけが、今の私の精神を支えている。
『このキスの事……すずには言うなよ?』
『何で?もっと隠れてキスしたいから?』
『違う。あいつがコレを知ったら悲しむからや。だから、二度とワシにこういった事はせんといてくれ。ワシは華純ちゃんの事、嫌いになりたくない』
その言葉が聞こえて来た私は涙で足場が見えなくなり、その後の会話も聞こえてこなくなった。
再びボーっとしていた私に華純は声を掛けてくる。
「すず、結局どうすんの?風間君連れて行ってくれるって言うてんのに!」
その声にハッとした顔をすると、和博は笑いながら私をジッと見つめる。
そう、魚釣りに行く話をしていたのだ。
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