another story-3 【軍艦島編】

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海面を見つめながら呟く和博の横顔を見ながら、私は首を左右に振って言葉を返す。 「おとんだけのおかげじゃないよ。和博が船を運転して此処へ辿り着かせてくれたおかげ」 「ハハ、もっとガソリンあったら国外へ避難出来たんかもしれんけど、ここが限界やったわ。まぁ……此処で暮らして居る間に、誰かがこの狂鳴化の騒ぎを鎮静化してくれるやろ。他人任せって言われたら言い訳出来んけど、ワシらはまだまだ子供なんや。武器も無いし……狂鳴人に勝つことなんか出来ん。 なんにせよ、どんな地獄でも、始まったからには終わりはある!無力のワシらにはそれを信じることしかできん」 そう呟いた和博の持っている竿がグッとしなる。 「おっ、来た来た!!」 興奮した様子でそう叫んだ和博は、リールを勢いよく巻いて手首を動かす。
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