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「さすがの狂鳴人でも海は泳げないか……。いくら狂鳴人とは言え、埋葬してやった方がええよな」
和博が私と華純の顔色を伺いながらそう呟くと、華純は信じられないと言った雰囲気で立ち上がり、顔を二回程左右に振った。
「風間君……それ、本気で言うてるん?こんなブクブクに膨らんだ汚い死体……埋葬する必要ないでしょう?」
「この人やって、もともとは普通に生活してた女性やったんや。ブクブクに膨らんだまま海を漂ってたら、成仏なんかできん。
すず、確か……ロープあったよな?あれを脇に引っ掛けて、船着き場まで移動させたら引き揚げられる」
私も本音を言うと華純と同じだったが、こうなってしまった時の和博は説得しても意味がない事を知っていたので、「うん……多分」と小さく応える事しか出来なかった。
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