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数分後、私と和博はいつも寝ている廃墟の部屋へ辿り着いていた。
和博は初めこそ華純と一緒に何故居てやらなかったのだと言っていたが、今は一緒になってロープを懸命に探している。
「どこや?くそっ……ワシの気のせいやったか?」
「いや、きっとあると思う……。あのロープは、いつか追い込まれた時に使おうと持ってきていたもんやから」
「またネガティブ発言しおって。あんなロープで自殺なんかしようもんなら、ワシも追いかけて天国でぶん殴るからな?」
和博は声こそ笑っているようだが、顔は真剣そのものだった。
その顔に背を向けると、瓦礫の隅の方に茶色く長いロープが蛇のように巻かれて置いてあることに気付く。
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