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ーーーー「旬、今日はあったかいねー!まさに花見日和!」
僕の腕に自分の腕を絡めながら綾子はそう言って微笑んだ。
「散り始めだけど、この瞬間が一番綺麗だと思わない?旬は8分咲きが一番好きだとかなんか言ってたけどさ」
綾子はそう言って僕から身体を離し、桜の写真を撮り始めた。
「またインスタにアップするの?」
僕がそう尋ねると、綾子はその通りと言った表情で微笑み、軽快にインスタにハッシュタグを打ち込みながら写真をアップした。
「あっ、アレってかの有名な渡月橋だよね!かの有名な!」
綾子は子供のようにはしゃぎながら、渡月橋に向かって走り出した。
「綾子、そんなに走ったらこけるよ?」
言い終えてから、まるで父親のような台詞だなと思い恥ずかしくなる。
綾子は渡月橋に再びスマートフォンを向け、シャッターを切った。
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